自分をデザインする

最近、気になっている近場の温泉施設で感じたことです。
その温泉施設は家から30分くらいの住宅街にひっそりとある
古木や岩を使った自然の素材で作られた温泉です。
露天風呂に入ってみると、お風呂の床が平坦ではなく
大きな岩ででこぼことしていてとても歩きづらい。
湯の色が黒いこともあり、転びそうになってるお年寄りもちらほら。
今どき珍しい、人に優しくない温泉だなぁと感じました。
最近の温泉施設やスーパー銭湯には
腰が掛けやすかったり、もたれたり寝転びやすかったりして
人に優しいデザインがほどこされた快適な空間が多いのですが、
その温泉施設はまるで逆。
「なんでこの温泉はもうちょっとこうなっていないのかなあ…」
というような残念なポイントがいっぱいでした。

最初の来館ではあまり良い印象がなく
もう行かないだろうと思っていたのですが、
何故かそのハマらなさ具合が印象に残っていたので
後日調べてみたら、とても有名な露天風呂造りの名人が監修した
温泉施設であることを知りました。
野山の中にある太古の自然温泉をイメージして
デザインされており、その歩きづらく人に優しく無い造りに関しても
「もし山中で温泉を見つけたら、
一歩一歩足を踏みしめて入るのでは?」
というメッセージが込められていました。
その後再度来店してみると
名人の意図していることがよく分かりました。
最初は違和感と心地悪さを感じた造りですが、
自分の方がその造りに工夫するなりして合わせるようにしてみると
実に心地よくフィットする瞬間があることも判明しました。
デザインは問題を解決したり
人の暮らしをよりよくする物であるという視点が一般的ですが、
それ以外に、自分自身が自分の行動を
環境に合わせてデザインするという視点もあるということに
気づかされました。
ちなみにこの温泉施設、
今では2週間に1回は行くほどのお気に入りになっています。 y.t