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市場を動かすリニューアル

飲料メーカーのキリンから出ている「キリンレモン」が
90周年を迎えた4月に、パッケージと味を大きくリニューアルしました。
 
飲料業界では「発売2週間で1000万本」がヒットの目安と言われている中、
このリニューアル後、1週間で1000万本を売り上げたそうです。
 
実はキリンレモンは、2014年のリニューアルをして以降、
ほとんど投資をしておらず、他の商品に集中していたことから、
売り上げは右肩下がりになっていたそうです。 そもそも、14年のリニューアルは

10代をターゲットにし、当時の高校生と共同開発をしていました。

ブルーとイエローのパッケージでフレッシュさをアピールしていましたが、
ブランドが生まれた当時の、
「着色料を使っていない無色透明の炭酸飲料」というイメージは
消費者に伝わりづらくなっていて、
「液体の色は黄色でしたよね?」といった声もあがっていたそうです。


さらに、炭酸飲料市場の消費者のトレンドは「甘さ離れ」「健康志向」で、
無糖炭酸飲料は2桁成長を遂げている一方で、甘い炭酸飲料は横ばい…

その中で、90年前のキリンレモンがこだわっていた

「着色料・人工甘味料を使わない」という価値が
このタイミングで力を発揮すると考えたメーカーは今回のリニューアルに踏み切ったとのこと。

 

パッケージデザインは90年前のパッケージを踏まえ、キリングループを

象徴する聖獣の麒麟(キリン)を中央に、

ラベルは黄色と青色と水色の“キリンレモンカラー”を使っていますが、

「着色料不使用」を伝えるために透明の印象を強くしています。

さらに、ペットボトルの容器はできるだけビンのように見せ、
味も甘さを控え、香りも果実のレモンに近い
ピール感のあるものになっています。
 
新たにメインターゲットとしたのは、20~30代の男女。
特にペルソナとして設定したのは、「ナチュラル」や「健康」に
こだわっている20~30代の感度の高い女性でした。
 
ふたを開けてみると、リニューアル前の昨年より数倍の売れ行きで、
当初ターゲットとしていた20~30代の男女だけではなく、
以前からキリンレモンを手に取っていた40代の主婦層にも売れているようです。
 
また、懸念だったティーン層にも
パッケージのクラフト感がカッコいいと評判で、
InstagramやTwitterに投稿をする人も増えているようです。
 
90周年だからイベント・キャンペーンをやりましょう、ではなく、
商品が今のトレンドにどう対応できるか見直したリニューアルで
またこの先も愛されて行けるように進化していくのは素敵なことだなと思いました。
 
 
M.Y