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SNS拡散における仕掛けづくりの工夫

新型コロナウィルスの影響で休業を余儀なくされていた
美術館・博物館、そして舞台などの興行ですが、
入場規制をする、座席間隔を空ける、マスク必須などの対策をして
徐々に営業を再開し始めています。

現代において、SNSのクチコミは強力な販促手段であると言えますが、
それは商品(モノ)だけでなく、美術館や舞台などにおいても同様といえます。
例えば、私は気になっている舞台は芝居好きの人のTwitterのレビューを見て
行くか決めたりしています。

と、言いつつ…
私個人の意見ですが、SNS、特にInstagramと美術館や舞台などの興行は
相性が良くないのではないかと、前々から思っていました。

「インスタ映え」という言葉も定着してきましたが、
SNSにおいて、写真(画)があるということは重要な要素の一つで、
思わず写真を撮りたくなるものは、SNSでシェアされやすいものと言えます。

しかし、美術館や舞台は基本的に撮影禁止。
そのため、SNSにあげられる美術館や舞台のレビューは基本文字だけのことが多い。
写真があったとしても、①会場入口に貼ってある大きいポスター ②パンフレット ③チケット
のどれかがほとんどで、タイムライン上で見ると似たような画がずらっと並び、
わくわくするタイムラインとは言い難いです。

そのような中、先日行った美術館と舞台で、
思わずSNSに共有したくなるような良い施策があったのでご紹介致します。
※すでに終了しているものもあります。あしからず。

*①「開校100年 きたれ、バウハウス―造形教育の基礎―」@東京ステーションギャラリー*
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202006_bauhaus.html

1919年にドイツで開校した造形学校「バウハウス」の生誕100年を記念した展示です。
バウハウスは、ものすごくざっくり言うと「家の中にあるもの、家をデザインすること」
が主眼とされている学校です。
バウハウスの生徒たちがデザインした美しいティーセットやテーブル、椅子などが展示されていました。

展示が終わり、休憩コーナーを通り過ぎようとしたところで驚きました。
休憩コーナーに先ほど展示室に置かれていた美しい椅子が
「座っていいですよ、でも貴重なものだから丁寧にね(意訳)」という言葉と共に、
さりげなく置かれているのです!

展示室ではもちろん撮影NG・手を触れるのもNGだった椅子が、
休憩コーナーでは、レプリカですが実際に座ってみることができ、写真も撮れます。
2脚並んでいるので、私もそうでしたが周りのお客さんたちも、
どちらが座り心地が良いか、デザインが好きかを比べたりしていました。

後でSNSで見たところ、やはりこの椅子の写真やコメントが多く並び、
まさに「話したくなる仕掛け」を作っていたと思います。

*②「ミュージカル『ビリー・エリオット』」@赤坂ACTシアター
https://www.billyjapan.com/
*『リトル・ダンサー』という、名作映画を原作としたミュージカルです。

開演前に「本作は撮影は禁止ですが、カーテンコールで一部撮影OKになります」と
アナウンスがなされていました。
私はそこまで熱心な観劇ファンというわけではありませんが、
今まで舞台数十本見てきた中で初めて聞いたアナウンスでした。

どのようにやるのかわからないまま舞台が終わり、大団円で幕が降り、そしてカーテンコール。
同時に、会場の隅の各所いた係員たちが一斉に「撮影OK」という札を上げ始めました。
舞台が終わって、観客が一番エモーショナルになっている時に写真を撮らせる、
それはもちろん写真を撮りたくなるし、シェアだってしたくなる!(私も撮りました!)
なかなか他の舞台では見ない、とても有効な施策だと思います。

ご紹介した2つの事例は、基本は撮影禁止でありながらも、
うまい撮影スポットやタイミングを作ってあげることで
観客が語りたくなる、写真を撮ってシェアさせたくなる仕掛けづくりをしていました。

デジタルの販促において、SNSに投稿させたくなるような仕組みづくりは重要ですが、
そのものの特徴を生かし、そのものでしかできない施策を考えることが
「魅力的なクチコミ」につながるのではないかと思います。 

F.I